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三太と沢又の開墾(さんたとさわまたのかいこん)

三太と沢又の開墾
 むかしむかし、諸沢村(常陸大宮市諸沢)に三太という巨人が、どこからともなくやってきて住みつきました。
三太は、八百八沢もあると言われる諸沢をひとまたぎにやって来ては、崖の上から諸沢川の水を一気に飲みほしました。
さらに、昼寝の大きいいびきで、山が二つに割れ(諸沢地割)、その地が割れるすごい音で目を覚まし、手をつきながら立ち上がると、その手足の跡に大きい穴ができました。
その穴に水がたまり、右の足跡が亀ヶ淵(諸沢上山)に、左の足跡は大釜の淵(諸沢沢又)となり、右手をついたところが鰐ヶ淵(大子町頃藤)、左手の跡はさがり淵(常陸大宮市山方)になったと言われます。
ある日、諸沢沢又の高台にこの三太が寝ていると、里は大騒ぎになりました。
里人たちが怖いもの見たさに、遠くから見ると、眉は濃く、目はらんらんと輝き、獅子のような大きい鼻、口も大きく、唇も厚く、その上乱れ髪をして、まさに大入道のようでした。
しかし、体が大きい割には、いたって気が優しく、思いやりの深い者であることがわかり、おそるおそる三太に近づいて、話しかけました。
 すると、優しい声で、「わしは神のお告げによって南の方からやってきた者だが、体ばかり大きくて住む家もない。その上、大食漢なので、どこでもこのわしを使ってくれる者がない。だから、ただぶらりとここまでやって来たもんだ。お前さんたちが開墾している様子を毎日見ていると、なにやら気の毒でならねえ。」
「お前さんたちの仕事は、このわしだったら朝飯前に終わってしまうんだが……。」と、言いながら起きあがったので、里人たちは、びっくりしました。
そこで、里人たちは、「とんでもないことですよ。村中こぞって開墾にかかって、もう三年がたちましたが、ごらんのようにはかばかしく仕事がすすみません。疲れがもとで病気になる人もたくさん出る始末です。どうか、どんなことでもしてあげますから、ぜひ手伝いをしてくれませんか。」と頼んでみました。
三太はおもむろにと口を開き、「可哀相な方々じゃ。よし、それではわし一人に仕事をまかせてくれるかい。開墾を全部ひき受けてあげよう。」と言いました。
里人たちは大変喜んで、手を合わせ拝むように頼みました。
三太はことばを続けました。「ただし、それには条件がある。三日間の余裕がほしい。そして、わしは腹がペコペコだ。明朝までにコワメシ(赤飯)を三十人分、みそ汁と漬け物をそれぞれ一斗だるに一杯ずつ、それにこもかぶり(清酒)を三だる、高膳に添えてわしのもとにもって来な。」と。
里人たちは、「あと五年たっても、この開墾は終わりそうもないし、お役人様との約束の期限も近くなっている……。」と、さっそく、言われたとおりの品々を、隣村から借りたり、みんなで持ちよったり、いろいろ工面をして、夜どおしかかってやっとのことで用意し、三太のところに持っていきました。
すると、三太はニコニコして、だまったまま一気にペロリと平らげ、また、ぐうぐう寝てしまいました。
三太と沢又の開墾
 次の日も、次の日も、里人の心配をよそに、食べては寝てばかりがつづきました。
里人たちは、時間がたつにつれて、「あの三太めは、わしらの裏切りものだ。」と不安と怒りが増してきました。
ところが、約束の日の終わった次の朝になって、里人たちが現場に行くと、びっくりしました。
昨日まで草や雑木で荒れはてていた土地は、きれいに開墾され、真新しい黒々とした土が朝日に輝いて、土の香りが漂っていたのです。
里人たちは、みんなで手をとりあって小躍りしながら喜び、「三太様に、お礼を申し上げなくちゃ。」と三太の寝ていたあたりにいきました。
しかし、そこには三太の大きい体が見あたりません。
あたりをよく見ると、高膳の上に紙切れが一枚のっていました。
紙には、「里人の皆さんよ。人の力だけを頼りにしてはいけません。何事もみんなで力を合わせてやることが大切です。約束は、はたしました。みなさんにいろいろ迷惑をおかけしましたので、お礼のしるしに、近くの川に大きい水溜めを二つ作っておきました。水が無くて困ったときに利用して下さい。わたしは、これから鰐ヶ淵までいってから、南の村のふるさとに帰ります。」という意味のことばが書き残されてありました。
里人たちは、三太のあとを追って鰐ヶ淵まで行きましたが、すでに姿はありませんでした。
近在の人に尋ねると、「この鰐ヶ淵には、昔から恐ろしい龍が住んでいて、毎年のように、幼い児をいけにえにしていましたが、不思議な巨人が来まして、龍を退治して、先刻帰ったところです。」と言われました。
おどろいて淵を見ると、切り殺された龍の血が、川下へ川下へと流れていたのでした。
その後、誰言うとなく、この巨人を「沢又三太」と名づけ、近くの大釜の淵近くに石碑を建ててお祭りしたとか言われています。

(文:堀江文男  さし絵:畠山豪)
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